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REVIEW · コンサート・ライブ

スミダアイコとOVAL SISTEM――ソウルの小さなライブハウスを満たした熱

公開 2026-02-02 · 更新 2026-10-24 · CROSSWAVE EDITION

スミダアイコとOVAL SISTEM――ソウルの小さなライブハウスを満たした熱
DATE2026.01.31VENUEソウル・OVAL SISTEM韓国公演TIMEライブレビュー
LIVE7 TRACKS

公演で確認できた曲

全曲のセットリストと演奏順は確認できていません。記事で確認できる7曲をまとめたもので、下記は演奏順ではありません。

  • Snsって
  • On the Run
  • Come Together
  • I Surrender
  • Never Alone
  • Butter-Fly
  • Face

1月31日、ソウルの小さなライブハウスは開演から空気が違った。OVAL SISTEMの韓国公演は、規模や形式こそ巨大なイベントではなかったが、ステージから届くエネルギーの密度は濃かった。荒々しい音、絶えず押し寄せるリズム。観客を言葉で説得するより、正面から押していく舞台だった。丁寧に説明されるライブではなく、まず身体で受け止める公演だった。

印象に残った理由は、うまい、情熱的だった、という言葉だけでは説明しきれない。予定どおりの安定感より現場の力を重く見た選択が、公演全体を生きたものにした。その中心には、最後まで舞台を牽引したスミダアイコの爆発的なパフォーマンスがあった。

スミダアイコとOVAL SISTEM――ソウルの小さなライブハウスを満たした熱 · 写真

編成変更を受け止め、揺らがずに進んだ舞台

当日は事前発表と一部異なる編成になった。ギターのiBerry(アイベリー)が体調のため来韓できず、韓国人のサポートギタリストが代わりに参加した。直前の知らせに観客は一時ざわついたが、結果として変更は完成度を損ねるより、ライブという形式の本質を明確にした。

編成が変わっても流れはおおむね安定していた。サポートギターは前へ出すぎず、バンドの持ち味を崩さずに溶け込み、欠席者を意識させる瞬間はほとんどなかった。完全に固定した形式より、その場に合わせて柔軟に応じる姿勢が、予定されたショーではなく、今ここで生まれる舞台という印象を強くした。

スミダアイコとOVAL SISTEM――ソウルの小さなライブハウスを満たした熱 · 写真

オリジナル曲が示した現在地

公演はOVAL SISTEMのオリジナル曲を中心に構成された。代表曲で安全にまとめるより、現在どんな音楽を作り、どう舞台に届けたいのかを示す選択だった。「Snsって」「On the Run」「Come Together」「I Surrender」「Never Alone」などを通して、目指してきた音の質感と今の立ち位置が浮かんだ。

韓国ではまだ広く知られた名前ではない。それでも観客の反応は、初めて聞く知らない曲へのものとは違った。進むにつれリズムや構造をすぐに捉え、サビや印象的なフレーズの反復には自然な反応がついた。既存ファンの結集だけでなく、曲自体がその場で説得力を持っていたと感じられた。

特に印象的なのは、過剰な説明や演出なしに、オリジナル曲が公演の中心を支えたことだ。気に入ってほしいという訴えより、演奏と歌声の密度で押し進めた。観客は流れに引き込まれ、新曲に挑む構成というより、このバンドが今、最も自信を持って出せる音楽として受け取るようになった。

後半のカバーとも対比が生まれた。韓国の観客にもなじみのある「Butter-Fly」や「Face」は、公演の方向を変えるのではなく、先に積み上げたオリジナルの流れをさらに押し上げた。つまり、知っている曲で盛り上げるだけでなく、まず現在のOVAL SISTEMを示し、親しみある曲で反応の密度を高める構成だった。

ファンと運営が交わる場所――Withアイコのブース

舞台の外で動くファンコミュニティーも印象的だった。スミダアイコの韓国ファンコミュニティー「Withアイコ」は独自のブースを出し、小さなグッズの配布や記念企画を行った。ファン活動が公式運営と自然にかみ合っており、所属事務所も切り離すのではなく、同じ流れの一部として受け入れているように見えた。

互いの領域を侵さず協力する形は、一方的に提供されるイベントではなく、アーティスト、運営、ファンが共に作る場という印象を強めた。前後の小さなやり取りが、演奏の熱とは別に会場を温かく有機的な空間にした。ファンとの関係が一段深まったのなら、こうした目立たない協働も背景にあったはずだ。

終演後の特典会が残した印象

終演後にはグッズ購入に連動した特典会があった。7万ウォン相当の商品を購入したファンには、アーティストのソロ撮影とツーショット撮影、各人と約1分の会話が用意された。形式だけなら他の日本のアーティストの特典会と大きく違わないが、その場の空気は異なった。

とりわけ進行にゆとりがあった。時間に追われて押し出される感じはなく、スタッフの制止も最小限だった。ファンは短くても明確に与えられた時間に思いを伝え、アーティストも誠実に返した。強制的な空気はなく、小さなファンミーティングのようだった。

予定外の出来事も思い出に

特典会の途中、アイコの前で突然ブレイクダンスを披露するファンがいた。床で回転する大胆な動きだったが、制止されたり問題視されたりせず、笑いと拍手が自然に起きた。アーティストも驚きながら楽しんでいた。

これは会の空気をよく表していた。決められた枠だけで動くのではなく、予期しない出来事も思い出として受け止める余裕があった。その進行は、参加者からの好意的な反応にもつながった。

似たグループを持つ他事務所との運営の違い

この体験から、似たグループを擁する別の事務所の特典会を思い出した。ハイタッチ、サイン、ツーショットなど形式は多様でも、実際には決まった導線を急いで進み、写真だけを撮って終えることが多かった。交流が最小限で、体験の濃さより効率を重視する印象が残っていた。

一方、今回は短くても直接向き合い、話せる余地が残されていた。単なる手順の差以上に、終演後の体験をどう考えるかという視点の違いとして読める。その視点は、ライブが終わってもアーティストや舞台の印象を静かに左右する。

特典会の満足度は公演とは別に、次の舞台を選ぶ基準にもなる。よい体験は戻る理由になり、心残りは次を選ばなくてよい理由にもなる。今回は、その選択を前向きに残すものだった。

公演のあとに残ったもの

完璧に計算されたショーでも、大規模な演出で圧倒するイベントでもなかった。構成は比較的簡素で、流れも大げさではない。だからこそ長く記憶に残りそうだ。仕掛けより音楽に集中し、現場を受け止めて柔軟に完成した流れが、単発の出来事ではなく、確かな体験として残った。

オリジナル曲が軸を作り、その間の「Butter-Fly」やドラマの楽曲が韓国の観客になじみを呼び戻した。その親しみは選曲サービスにとどまらず、後半の力を濃くする働きをした。未知と既知が交わる中で観客は引き込まれ、最後には舞台と客席が同じ温度を共有していた。

特典会も、その日の印象を一続きの物語にした。急いで消費される時間ではなく、短くても息を整える余裕があり、ゆるやかで温かな空気が残った。公演と特典が別々でなく、一つの体験につながったことが大きい。

観客が持ち帰ったのは写真データやグッズだけではない。音楽、舞台の温度、終演後まで続いた空気が一つの記憶になった。それが、この公演を思い返す最も大きな理由なのだろう。OVAL SISTEMのソウル公演は、静かでも確かな跡を残して幕を閉じた。