REVIEW · コンサート・ライブ
かのうみゆ「TERMINAL」ソウル――同じ歌が届いた、もう一つの都市

2025年8月3日のソウルでのソロ公演は、音楽に加えファンとかのうみゆが密接に呼吸を合わせる場だった。東京公演と比べ、独自の構成と現場感が際立った。東京はスタンディング中心、ソウルは着席が基本だったが、みゆの呼びかけで自然に立ち上がる流動的な空気があった。
会場の空気と入場
午後6時から入場準備が本格化し、券と席を確認する観客には緊張と期待があった。東京と違い着席中心で、スタッフの案内も整い、入場は混乱なく進んだ。開演前には用意された企画と応援で客席が徐々に熱を帯びた。
照明を落とし、装置と画面へ集中する会場で観客は着席していたが、登場したみゆが最初の曲を案内するとすぐ立ち上がった。没入感を高め、両者の一体感を強める流れだった。


セットリストと構成
全13曲で、東京の14曲より1曲少ないが、選曲と配置に工夫があった。序盤には日本で人気のオリジナルより、韓国のファンになじみ深い曲を置き、すぐ引き込む構成だった。
公演セットリスト
演奏順
- Password 486 最初は『日韓歌王戦』で勝利を得た曲。韓国での知名度と感情的な結びつきが強く、始まると拍手と反応が自然に上がった。前方での動きと表情、視線で歌の感情を伝えた。
- 魔法少女 東京でも好評だった2曲目は、ソウルでさらに強い反応を得た。歌と踊りが軽快さと想像力を引き出し、終盤は合唱と拍手が重なった。「まほうしょうじょ」という日本語の発音の紹介も、両国の違いを自然につなぐ場面だった。
- HELLO, TOKYO 東京の幕開けの曲を、ソウルでは中盤に配置。リズムと緊張を調整し、違う経験を作る選択だった。客席は冒頭から立ち上がって応え、照明とポーズ、仕草が視線と集中を集めた。
- 負けないで 韓国語の歌詞を含めた歌唱に、感情と交流が最もよく現れた。二つの言語を交えたライブが、ソウルならではの体験になった。
- Angel Night エレキギターとベースが際立ち、声と楽器が調和した。途中のブレイクには合唱と拍手が加わり、エネルギーを高めた。
- Time of Our Life ファン推薦で選ばれたDAY6の曲。ギター中心の編曲と繊細な感情が響いた。多くの観客が知っており、自然な反応で舞台と客席の距離が縮まった。
- Shake it Off 活発な動きと参加でライブの熱をつなぐ曲。客席もリズムに体を揺らし、会場を盛り上げた。
- Baby Paradise(ランダムボックス企画) 指名された観客が曲を選ぶ企画で披露し、緊張と興味を保った。軽快な旋律と即興のやり取りがライブの強みを引き出した。
- 愛を伝えたいだとか 『日韓トップテンショー』でも披露され、ファンに親しまれた曲。歌唱と合唱が重なり、表現と反応の自然な往復が集中を保った。
- 黒い心臓 この曲から録画が許可された。スマートフォンやカメラに表現と演出を収め、現場の感覚をデジタルでも共有できた。
- TERMINAL(韓国語版) 出会いと別れを描く繊細な新曲がハイライトの一つに。韓国語版はソウルの客席へ特別な意味を届け、照明、音、表情、仕草が感情と没入を深めた。
- Re:Road(アンコール) スマートフォンのライトを促し、舞台と客席をつないだ。光と音、参加が感動的な頂点を作り、客席は旋律に光を添えて交流した。
- 愛のバッテリー(日本語版、アンコール) グループ活動を代表する曲で締めくくった。反応と合唱が続き、最後まで熱気を保った。
ファンとのやり取り
ランダム選曲、携帯の光、掛け声の変更が観客を共同の作り手にした。新しい「みゆ姫」の声に即座に応える場面も、没入を高めた。
曲ごとに舞台を移動し、反応に合わせて表情と仕草を変え、一対一に近い感覚を作った。やり取りが鑑賞を一つの体験へ変えた。
アフタートーク
東京と違い席が用意され、終演後そのまま参加できた。まず伝えたいことを話し、事前の質問をランダムに引いた。日韓公演の違いや韓国語の発音上達など、音楽に関する内容が中心だった。
最後は、最近よく使うウサギのキャラクターの着想について。幼少期の記憶や選んだ過程を詳しく語った。写真は可能だったが、動画とオンライン共有には制限があり、その場の親密さが保たれた。
構成と表現を振り返る
曲順、演出、参加が有機的につながった。着席から立ち上がる流れや反応の差で東京とは違う没入が生まれ、進行速度にも独自性があった。音程、感情、空間の活用が釣り合い、交流が感情の流れを強めた。
韓国での認知度と序盤の集中を考えた選曲だった。推薦曲と抽選が参加を促し、アンコールとライトで頂点を作る構成にも企画の意図が見えた。
ソウル公演が残したもの
交流、構成、緩急を合わせた総合的な舞台だった。座席からスタンディングへの移行、曲順、企画、照明が密接につながり、没入と感動を作った。東京にも劣らぬ現場感と整った運営の中で、ライブの力とファンとの対話が際立った。





