← CROSSWAVE EDITION

REVIEW · 楽曲・アルバム

「Pegasus」が変える『バトルスター・ギャラクティカ』の空気

公開 2025-01-14 · 更新 2026-10-25 · CROSSWAVE EDITION

「Pegasus」が変える『バトルスター・ギャラクティカ』の空気
ARTISTBear McCreary(ベアー・マクレアリー)WORKPegasusFORMAT音楽レビュー

『バトルスター・ギャラクティカ』の「Pegasus」を希望の音楽とだけ呼ぶと、新たな存在が現れる瞬間の複雑さは減る。仲間を発見する喜びには、何が変わるか分からない感覚もついてくる。ベアー・マクレアリーの音楽をその間で聴くと、戦艦の名を付けた曲は印象的な出会いとして近づく。広い宇宙の背景より、なじんでいた世界の空気が、別の方向へ動き始めることに耳を向けたい。

VIDEO · YOUTUBE

Pegasus

YouTubeで見る ↗

なじみある世界へ入る別の語法

ペガサスの名は宇宙の物体だけでなく、その中の別の人々と秩序を予告する。一人ではなかったことは、問題がすべて解けた意味ではない。この差を残すと、孤立と連帯は説得力を増す。音楽から感じる安堵は、知らない相手への警戒と共存できる。助けへの期待と、これまでの関係が変わる緊張が、同時に入る瞬間だからだ。

マクレアリーはインタビューで、「Pegasus」に米国的な楽器と語法を用いた理由を問われ、今回はこれまでと違う物語だと音楽で知らせたかったと答えた。この説明は聴く基準を変える。新たな対象を説明するだけでなく、観客の物語を受け取る姿勢を調整したのだ。特定の楽器を数えるより、異なる語法がなじみある世界へ入る効果を見られる。変化は画面の事件より先に耳へ届きうる。

うれしい出会いを、単純な答えにしない

サウンドトラックの題名を見て聴くことと、ドラマで初めて出会うことも違う。題名を知れば新たな戦艦を待つが、場面では予告の正体をまだ知らないかもしれない。その違いが、単なる人物紹介札として読ませない。音は名を確かめる前に、感情の方向をつくる。変化の感覚が先に来て、理由は物語とともに埋まる。音楽の役割が情報以上に広がる場所だ。

広い空間に一人残る感覚は、映像外でも出発点になる。だが広い背景だけに耳を任せると、新たな存在が孤立をどう変えるかを見落とす。「Pegasus」は孤独自体より、それを変える出会いに重みを置きたい。一人の沈黙と、誰かを見つけた後の沈黙は同じ静寂ではない。音楽の表情を追い、関係が変わったと感じると、宇宙にも人間的な規模が生まれる。

新しい物語が始まる信号

「Pegasus」の余韻は、仲間が増えたの一文より、別の物語が始まった予感に近い。無条件に喜びや不吉さと決めなければ、聴き直す場所も広がる。初対面で安堵と受けた音は、後で緊張にも聞こえ、既知の物語を離れれば、変化そのものが残るかもしれない。この短い題名は戦艦の標識であり、別の秩序が世界へ入る敷居だ。音楽は先にその敷居を開く。

参考資料